こんにちは、つねです。
ウェブ解析業界では、事業戦略からデジタル化戦略を策定するためにMELSAモデルが提唱されています。
MELSAモデルを使用することで、事業におけるデジタル化戦略を具体的な成果指標(KPI)に結びつけ、事業の成果を導くことができます。
今回はそのMELSAモデルについてざっくり紹介しようと思います。
※本記事はウェブ解析士の試験内容の復習として筆者がまとめたものになります。興味ある方はぜひ資格を(^_^)
MELSAモデル
事業のデジタル化は、事業の目的、役割、目標に合わせて進める必要があります。
多くの場合、1つの事業で複数のモデルを使用することがあります。
MELSAモデルは、メディア・Eコマース・リードジェネレーション・サポート・アクティブユーザーの頭文字から構成されています。
このモデルでは、事業の目的とビジョンを確立し、フェーズを評価した上で、どのモデルをいつ展開すれば効果的かを意思決定することが重要です。
メディアモデルモデル
メディアモデルでは、消費者の関心を引くために、ブログや動画などの形でノウハウをコンテンツ化します。
事業の成功を実現するためには、差別化できるコンテンツの開発が必要です。
イーコマースモデルモデル
集客から消費者の商品購入までをデジタル上で完結させるモデルのことで、ビジネスの拡大を実現するためには、優れた商品開発力が必要です。
リードジェネレーションモデル
リード(見込み顧客)を増やし、獲得するためのマーケティング活動をリードジェネレーションと呼びます。
この活動において、商談に繋がった率や商談後の契約成立などが重要な指標となります。
リードジェネレーションの過程では、コンバージョンしたリードをMQL(マーケティング活動が行えるリード)と呼び、さらに商談が可能なリードをSQL(セールスクオリファイドリード)と呼びます。
ユーザーの進行状況に基づく名称の流れは次のようになります:
- 潜在顧客
- 訪問者
- MQL(マーケティング活動が行えるリード)
- SQL(営業担当者がセールス活動を行えるリード)
ユーザー層の進行状況に基づく名称の流れは次のようになります:
- TOFU(Top of the Funnel):初めて自社コンテンツに訪問した段階
- MOFU(Middle of the Funnel):リピートしてMQLになった段階
- BOFU(Bottom of the Funnel):営業による交渉や購買検討段階に入った段階
見込み客をデジタル上で獲得し、接客を通じて顧客を獲得するモデルです。
新規取引先の獲得、採用、パートナー獲得など、それぞれに合わせて接点を構築し、商談のアプローチを改善することで、販売機会を創出する必要があります。
サポートモデル
獲得した顧客を逃さず、ロイヤルティを高めるモデルのことです。
顧客マニュアルやFAQ、チャットや電話など、費用対効果の高いタッチポイントが必要です。これにより、顧客との接点を円滑にし、サポートや情報提供を行うことができます。
アクティブユーザーモデル
顧客の取引頻度を定期化し、顧客満足度の向上と維持コストの削減を可能にするモデルが求められます。
このためには、解約しない高付加価値サービスの開発と固定収益ビジネスモデルの構築が重要です。
各モデルをざっくりまとめると下記のようになります。
ポイント
- メディアモデル:認知を広げるためのメディア戦略
- イーコマースモデル:消費者との購買接点を作り出すためのオンライン販売戦略
- リードジェネレーションモデル:見込み客との接点を確保するための戦略
- サポートモデル:顧客の対応コストを低減し、ロイヤルティを向上させるためのサポート戦略
- アクティブユーザーモデル:定期的な製品・サービス提供により顧客を活発なユーザーにする戦略
メディアモデルの戦略
サイトのコンテンツに関心を集め、より多くの消費者に何度も訪問してもらい、より多くのページを閲覧してもらうことは非常に重要です。
自社事業においては、以下のような活動が挙げられます:
- 定期購入や書籍や電子コンテンツの販売:ウェブサイトを通じて定期的な商品の購入や書籍や電子コンテンツの販売を行います。
- オンライン・オフラインのセミナー:ウェブサイトを活用してオンラインやオフラインのセミナーを提供し、参加者を集めます。
広告事業においては、以下のような活動が重要です:
- 純広告、メール広告、アフィリエイト広告、運用型広告などの出稿:広告媒体として収益を上げるために、様々な広告形態を利用し、マーケティングやセールス活動を行います。
単体メディアにおいては、以下の手段が有効です:
- SNS活用:ソーシャルメディアを活用して、コンテンツの拡散やブランドの認知を高めます。
- SEO対策:検索エンジン最適化を行い、ウェブサイトの表示順位を上げることで、集客を図ります。
複数メディアを活用する場合は、以下の点に注意しながらページビュー数を増やすことが重要です:
- 複数のチャネルを活用する:ウェブサイトだけでなく、SNSやブログ、メールマーケティングなど複数のメディアを組み合わせて集客を行います。
- 短期間での伸ばし方を考える:短期間でページビュー数を増やすために、キャンペーンや特別企画などの施策を計画し、実施します。
コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティング
コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティングは、ユーザーの関心を引きつけてコンバージョンに繋げる手法として重要な役割を果たします。
コンテンツマーケティングは、ユーザーに対して有益な情報やコンテンツを提供することで、彼らの関心を引きつけ、自社の商品やサービスに興味を持ち、ファンになってもらうことを目指します。
ブログ記事や記事連載、ガイドやホワイトペーパー、ビデオコンテンツなどを通じて、ユーザーのニーズや関心に応える情報を提供します。
一方、インバウンドマーケティングは、ユーザーが自発的に情報を探し、興味を持ってウェブサイトに訪れた時に適切な情報を提供し、コンバージョンに繋げる手法です。
ユーザーの興味や関心に合わせて、情報やコンテンツをステージに分けて提供し、彼らのステップを進めていきます。
ウェビナーやホワイトペーパー、チュートリアル動画などのコンテンツを活用して、ユーザーの関心を引きつけ、興味を深めます。
さらに、企業やプロダクトのオウンドメディア(自社のメディアプラットフォーム)でブログを戦略的に発信し、各ステージのユーザーに対して最適化されたコンテンツを提供することも重要です。
ブログを通じて、業界のトレンドや専門知識、製品やサービスの活用法などを発信し、ユーザーの関心を高め続けることが目指されます。
これらの戦略を適切に組み合わせることで、ユーザーの関心を引きつけ、コンバージョンに繋げることができます。
イーコマースモデルの戦略
イーコマースモデルには4つの販売戦略があります。
各戦略には利点と課題がありますので、事業の性質や目標に合わせて適切な戦略を選択し、継続的な改善と努力を行うことが重要です。
単品販売:
単品販売では、同じブランドの商品群を訴求し、リピート購入を促すことが重要です。ユーザーが一度商品を購入した際に、その商品の品質や価値を実感し、ブランド全体に対する信頼を深めることが目指されます。そのため、類似商品や関連商品の提案、クロスセルやアップセルの活用などが重要な施策となります。
型番販売:
型番販売では、さまざまな商品を取り扱い、商品群全体を認知させて購買を促すことが目指されます。
複数の商品を提供することで、ユーザーに選択肢を提供し、幅広いニーズに応えることができます。商品群のバリエーションや特徴を明確に伝え、ユーザーにとっての最適な選択肢を提案することが重要です。
単店舗展開:
単店舗展開では、店舗の数を1つに絞ることで店舗維持コストを抑えることができます。
ただし、販路が限られるため、特定の地域や顧客層に依存しやすく、売上の伸びが制約される可能性があります。
そのため、地域や顧客層に合わせたマーケティング施策や顧客ロイヤリティの向上に注力する必要があります。
多店舗展開:
多店舗展開では、店舗の数を増やすことで流入経路を増やし、売上を伸ばすことが期待できます。
ただし、店舗維持コストなどの固定費が高くなるため、収益性の確保や効率的な運営が求められます。
地域や市場の分析、適切な店舗配置、効果的な広告やプロモーション活動などが重要な要素となります。
リードジェネレーションモデルの戦略
見込み顧客であるリードを獲得し、接客可能な状態にするのが目的です。
リードにはメールアドレスや、氏名、企業名などが含まれています。
リードの数量や質、およびマーケティングとセールスの視点に基づいた施策の違いがあります。
リードの量重視:
リードの獲得件数や店舗への送客数、商談数など、数値的な指標に注目します。主な目的は、できるだけ多くのリードを獲得することです。多くのリードを集めることで、顧客層の幅広さやマーケットの大きさをカバーし、ビジネスの成長を促進します。
リードの質重視:
リードの業種や企業規模などの属性情報や、商談率や受注率などの率に注目します。目的は、質の高いリードを獲得し、効率的な商談や受注につなげることです。リードの質を向上させることで、成約率を高め、収益性を向上させることが期待できます。
マーケティング施策中心:
リードが相談をしたいときに情報を提供するための施策に注力します。
例えば、ウェブサイト上でのコンテンツマーケティングや自動メール配信、ウェビナーの開催などが挙げられます。
ターゲットユーザーが主体となって自発的に興味を持ち、問い合わせをすることを促します。
セールス施策中心:
個別のターゲットに合わせたアプローチが中心となります。ターゲットに対してメールや電話、メッセンジャーなどの個別連絡を行い、ダイレクトな対話や情報提供を通じて商談や受注につなげます。ターゲットのニーズや課題に対して的確な解決策を提案することが重要です。
リードナーチャリング
リードナーチャリングは、獲得したリードとの関係を継続し、深めるためのプロセスです。
メールや電話などのコミュニケーション手段を活用し、リードとの対話を通じて相互の関係を発展させます。
その結果、リードを顧客へと転換させることが目指されます。
リードナーチャリングは、リードジェネレーションで得た情報や興味関心を基に、ターゲットとの関係を深める重要な役割を果たします。以下に、リードナーチャリングの主なプロセスを示します。
- コミュニケーションの確立: メールや電話などを通じてリードとのコミュニケーションを確立します。興味を持ってもらったコンテンツの提供や質問への返答など、価値のある情報を提供しながら、関心を維持します。
- パーソナライズされた対応: リードの属性情報や行動履歴に基づき、個別に対応します。リードのニーズや課題に合わせた情報や提案を行い、関係をより深めることが重要です。
- タイミングの把握: リードが購買意欲を高める可能性のあるタイミングを把握し、適切なタイミングでコンタクトを行います。ターゲットが特定のアクションを起こしたり、関心を示したりしたときに積極的に対応することが効果的です。
- フォローアップの継続: 繰り返しのフォローアップを行い、関係を継続させます。リードが興味を持つ可能性のある追加情報やイベントの案内、特別なオファーや割引の提供など、継続的な価値を提供することが大切です。
リードナーチャリングは、顧客との信頼関係を築き、購買意欲を高める重要なステップです。リードを顧客に転換し、継続的なビジネスの機会を生み出すために、効果的なコミュニケーションと関係構築を行うことが求められます。
アカウントベースドマーケティング(ABM)
ABM(Account-Based Marketing)は、リードジェネレーションモデルで得られたリード情報から、より狙ったターゲットを企業単位や業種単位で特定し、それらのアカウントに対して効果的なマーケティングアプローチを行う手法です。
ABMでは、アカウントの選定が非常に重要です。適切なアカウントを選ぶことで、マーケティングリソースを最適化し、より効果的な成果を得ることができます。以下に、ABMにおけるアカウント選定のポイントをいくつか紹介します。
- 目的と戦略に合致したアカウントの選定: ABMの目的や戦略に合わせて、優先的にターゲットとするアカウントを選定します。事業戦略やセグメント戦略、市場の潜在性などを考慮し、重要なアカウントや有望なセグメントを特定します。
- 潜在的なニーズや課題の把握: 選定したアカウントに対して、潜在的なニーズや課題を理解することが重要です。市場調査やアカウントの情報収集を通じて、アカウントごとの特徴やニーズを把握し、カスタマイズされたアプローチを構築します。
- ウェブ接点とリアル接点の統合: ABMでは、ウェブ接点とリアル接点の両方を活用してアプローチします。ウェブ上でのパーソナライズされたコンテンツや広告を通じてターゲットアカウントにリーチし、同時にイベントやセミナー、直接の商談などのリアルな接点を活用して関係を深めます。
- チーム間の連携とターゲットアカウントへのフォーカス: ABMでは、マーケティングチームとセールスチームの連携が重要です。ターゲットアカウントに対して一貫したメッセージとアプローチを提供し、顧客との関係を強化します。セールスチームとのターゲットアカウントへのフォーカスと連携により、より効果的な顧客獲得と収益成長を実現します。
アカウント選定はABMの基盤となる重要な要素であり、成功に向けて慎重に検討する必要があります。
適切なアカウントの選定とマーケティングアプローチの実施により、リードジェネレーションをさらに効果的に活用し、ターゲットとする顧客を獲得・育成することができます。
カスタマーサクセス
契約後に顧客企業が安心してサービスを利用できる環境を作ることです。
以下の要素を考慮して窓口や組織体制、問い合わせ方法、教育、コンサルティングメニューなどを提供することが重要です!
- 窓口と組織体制: 顧客が問題や要望を適切に伝えることができる窓口を設けることが重要です。組織内での責任者や担当者を明確にし、顧客からの連絡や相談に対応できる体制を整えます。これにより、顧客は安心して問題を報告したり、サポートを受けることができます。
- 問い合わせ方法: 顧客が疑問や問題を素早く解決できるような問い合わせ方法を提供します。電話やメール、チャット、オンラインフォームなど、顧客が利用しやすい方法を提供することで、迅速なサポートを提供できます。
- 教育: 顧客がサービスを最大限に活用できるように、適切な教育プログラムやトレーニングを提供します。製品やサービスの使用方法や設定、トラブルシューティングなどの情報を提供し、顧客のスキルや知識を向上させます。
- コンサルティングメニュー: 顧客がビジネス上の課題を解決するために、専門的なコンサルティングサービスを提供することも重要です。顧客のニーズや要望に合わせてカスタマイズされたコンサルティングメニューを提供し、顧客のビジネス成果を最大化するお手伝いをします。
これらの要素を通じて、顧客企業はサービスを安心して利用でき、問題が発生した際にも迅速かつ適切な対応が行われることになります。顧客の満足度を高め、長期的な関係を築くためには、顧客サポート体制をしっかりと整備することが不可欠です。
サポートモデルの戦略
満足度を高める施策とコストカット施策の戦略です。
サポートモデルの戦略には、クローズドなサポート、オープンなサポート、マニュアル、FAQなどが挙げられます。
アクティブユーザーモデルの戦略
目標は、お金を得るチャンスとなるポイントを増やし、多くのユーザーが有料会員になるよう促すことで、課金人数の割合を増やすことです。
アクティブユーザーモデルの戦略には、サブスクリプションモデル、都度課金モデル、エンターテインメントサービス(お金を使って「強くなる」や「他の人の役に立つ」などの結果を得るサービス)、実用サービス(健康管理や会計などのツール)が含まれます